相続した不動産の売却に必要な相続登記|流れ・必要書類

相続した土地・戸建て・マンションの売買代金を決済し、買主への所有権移転登記を行うには、亡くなった方から相続人への相続登記が前提になります。売買契約を先に結ぶ場合や、相続登記と売買による所有権移転登記を同日に連続して申請する場合もありますが、相続人申告登記だけでは売却のための名義変更になりません。この記事では、2026年8月時点の法務省・法務局資料に沿って、売却前に確認する順番、相続登記の必要書類、登録免許税を整理します。

相続不動産の売却前に確認する3点

売却前の登記
亡くなった方から相続人への相続登記が必要
相続人申告登記
申告登記だけでは売却のための名義変更にならない
最初に確認
登記名義、遺言書、相続人、売却予定

結論: 買主への所有権移転登記には相続登記が必要です

登記簿上の所有者が亡くなった方のままでは、相続人から買主へ直接、売買による所有権移転登記をすることはできません。売買契約そのものが一律にできないという意味ではありませんが、決済と買主への移転登記までに、遺産分割や遺言などに基づく相続登記を申請できる状態にしておく必要があります。

相続人申告登記との違い。相続人申告登記は、期限内に相続登記を申請することが難しいときに基本的な申請義務を履行するための制度です。不動産の権利関係を確定する登記ではないため、売却や抵当権設定には別途、相続登記が必要です。

売却までの基本的な流れ

  1. 登記事項証明書や固定資産税の資料で、対象不動産と現在の登記名義を確認する
  2. 遺言書の有無と法定相続人の範囲を確認する
  3. 遺産分割・遺言・法定相続分のどの方法で相続登記をするか決める
  4. 決済に間に合うよう相続登記を申請し、売却する相続人を登記名義人にする
  5. 売買契約、決済、買主への所有権移転登記を進める

売買の決済日が決まっている場合は、戸籍収集や遺産分割協議に必要な期間から逆算します。相続人が多い、数次相続がある、海外在住者や連絡の取れない相続人がいる場合は、早めの確認が必要です。

相続登記の必要書類

次は、遺産分割協議により一人の相続人が取得する一般的な例です。

  • 亡くなった方の出生から死亡までの戸籍・除籍・改製原戸籍
  • 法定相続人全員の現在戸籍(亡くなった方の死亡日以後に発行されたもの)
  • 遺産分割協議書と、相続人全員の印鑑証明書
  • 不動産を取得する相続人の住民票
  • 亡くなった方の登記上の住所と本籍のつながりを示す住民票の除票や戸籍の附票
  • 申請年度の固定資産評価額が分かる資料
  • 代理申請を依頼する場合の委任状

遺言・法定相続分・数次相続では書類が変わります。公正証書遺言か自筆証書遺言か、家庭裁判所の検認が必要か、相続人の中に先に亡くなった方がいるかなどを確認して、添付書類を確定します。

相続登記の登録免許税

相続による所有権移転登記の登録免許税は、原則として固定資産課税台帳の価格を基礎にした課税標準の1,000分の4(0.4%)です。売却予定価格や固定資産税の課税標準額をそのまま使うものではありません。

2027年3月31日まで、相続により土地を取得した方が相続登記をしないまま亡くなった場合の一定の登記や、価額が100万円以下の土地の相続登記には免税措置があります。建物はこの土地の免税措置の対象ではなく、持分・複数物件・複数申請がある場合も計算が変わるため、申請年度の資料で確認します。

売買による所有権移転登記で確認する書類

相続登記後の売買では、一般に、売主側の登記識別情報または権利証、作成後3か月以内の印鑑証明書、買主側の住所証明情報、登記原因証明情報、委任状、固定資産評価額が分かる資料などを確認します。売主の現在の住所・氏名が登記記録と異なる場合は、原則として先に住所・氏名の変更登記が必要です。

住宅ローンを利用する場合は抵当権設定登記も同日に行うことが多いため、金融機関、仲介会社、売主・買主と司法書士の間で、決済日と書類の受渡しを調整します。

先に確認しておくと進めやすいこと

  • 売却したい不動産の所在地と登記名義人
  • 亡くなった時期と遺言書の有無
  • 相続人のおおよその範囲と話し合いの状況
  • 売却予定や不動産会社への相談状況
  • 固定資産税納税通知書など、評価額が分かる資料の有無

すべての戸籍や書類がそろっていない段階でも、登記事項証明書や固定資産税の資料から、次に確認することを整理できます。

個別確認について。本記事は一般的な制度説明です。相続方法、戸籍の内容、登記記録、申請時期などにより、必要書類・登録免許税・申請の順序は変わります。実際の申請では、最新の公的資料と対象不動産の登記記録を確認します。

公式情報

法務省「相続人申告登記について」 法務省「相続登記の申請義務化について」 法務局「不動産登記の申請書様式について」 法務局「相続登記の登録免許税の免税措置」

売却予定から逆算して、相続登記の順番を整理します

お手元の資料を確認し、必要書類・登録免許税・進め方をご案内します。